詩吟の楽典
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【中国渡来の音階】
奈良時代に中国から渡来した雅楽の音階は
● 律音階・陽音階・田舎節音階・・・レミソラシレ ドレファソラド ソラドレミソ
● 呂音階・四七抜長音階・・・・・・ドレミソラド ソラシレミソ
● 民謡音階・尺八音階・・・・・・・レファソラドレ ミソラシレミ
これらの音階は黒鍵( ♯・♭) は使わずに済みます。
同一音階とは、ミ⇔ファ シ⇔ド の間隔が半音で、それ以外の間隔はすべて一音(全音)です。 参照:楽典の基礎
←同一音階
【日本の音階】 邦楽(俗楽)には、大きく分けて二つの音階(陽・陰)があります
★ 陽旋法音階(田舎節) 明るくのどかさを感じる音階
★ 陰旋法音階(都節) 物哀しさを感じる日本的な音階(上行音階と下行音階が異なる)
★ 不動陰旋法音階(詩吟) 陰旋法音階の派生(ただし上行音階と下行音階が同じ-->不動・四七抜き短音階) 陰音階とは異なる。
田舎節 (明るくのどかな響き 陽音階)→ レ ミ ソ ラ シ
詩 吟 (物哀しく寂しい響き 陰音階)→ ミ ファ ラ シ ド
音名の直上(↑)鍵盤キー(白鍵)を右に順番に押して音階の感じを聴いて下さい。
このページの最下行でコンダクターによる音階も聴いてみて下さい (曲番6〜8)
青字項目をクリックすると拡大表示が出来ます、拡大画面右上の[Ⓧ]をクリックで戻ります。
【和音】⇒音楽の科学?→音の3要素「ハーモニー」
多くの種類の和音ができ、さまざまな響きが生まれます。:
ド根音(最低音)が基準となる
協和音
完全八度:オクターブ(ドー
完全五度:協和音とされる(ドーソ)
根音の上に重ねる3度の音程の幅の違いによって、左図のような三和音ができます。すべてドを根音としています。
長三和音・短三和音:協和する音だけでできた三和音(安定した響き)
長三和音曲:ベートーベン「エコセーズ」(スコットランド舞曲)
短三和音曲:チャイコフスキー「バレエ・白鳥の湖」
増三和音・減三和音:不協和の音程も含む三和音(不安定な響き)
増三和音曲:ドリゴ「バレエ・百万長者の道化師」
減三和音曲:リスト「愛の夢」
詩吟で使う和音: ラドミ シレファ レファラ ミシ
吟詠での「レ」の音
レは吟じ出しでよく使われます
【例】岳精流「早に白帝城を発す」の節調
レ
実際の音を聴いてみましょう。
再生曲送り ■停止 ∐音量調節(消音最大音)
【詩吟の音階】 詩吟(漢詩・短歌)で使う音階(レソ抜き五音短音階・四七抜き五音短音階)
それぞれの音には、音の性格があります。
岳精流では吟じ出しに「レ」の音を使う(本居長世式短音階)ことが多いですが、この音は節が上向きの時(レファなど)のみ使われます。
【例】「君が代」:四七抜き音階と律音階の合体
作曲の経緯:和歌披講 ⇒ 雅楽原曲 ⇒ 編曲(現曲)
現存する国歌では世界最古の歌詞で、全編大和言葉でできている。
イギリスの日本研究家。東京帝国大学文学部名誉教師バジル・ホール・チェンバレンが日本国歌「君が代」を日本語に翻訳した。
【俳句の音階】
【俳句の音階】岳精流の俳句で使う音階(ドファ抜き陽旋律)
【詩吟と民謡の組合せ】
詩吟と民謡を組合せる場合には、声の高さ(音程)に留意する必要があります。民謡を音階別に区分し、陽旋法音階の民謡(田舎節)と詩吟を組合せるときは注意しなければなりません。
詩吟と同じ音程で民謡(田舎節)を歌うと、声が乱れたりかすれることになります。これは詩吟の主音(ミ)と民謡(田舎節)の主音(レ)の音程差(2本)に因るものです(上述)。したがって 詩吟と民謡(田舎節)を組合せる場合、 詩吟に対して民謡は2本低い音程で唄います 。
詩吟(陰旋法音階)と同じ陰旋法音階の民謡(都節)を組合せる場合は、特に意識する必要はありません。
民謡の音階区分は、馴れれば歌詞やメロディーで自然にわかってくるものですが、下記に参考例を挙げます。
★陽旋法音階の民謡(田舎節)
ソーラン節 おこさ節 どんぱん節 真室川音頭 草津節 木曽節 串本節 こんぴら船ふね 田原坂 稗つき節
★陰旋法音階の民謡(都節)
黒田節 さくらさくら 平城山
★四七抜き短音階
南部牛追唄 ひなまつり 人生劇場
★四七抜き長音階
浜千鳥 北国の春
【主音の位置】 本数による主音(ミ)の位置と音名など
自分の主音の位置を知る 吟詠をするには、自分の主音の位置(本数、声の高さ)知らなければなりません。吟詠のワンポイント【音程】★主音 参照
主音(ミ)の位置(黒鍵)↓ 水一 二 五 七 ←(本数の変更)→
主音(ミ)の位置(白鍵)↑水二 一 三 四 六 八 九 ←(本数の変更)→
【音階の移動】(本数の変更) 主音(ミ)移動の具体例(相対音階:主音位置が変わるが同音階)
【完全協和音】 きれいに響く完全協和音(ハモる)の具体例
詩吟では男女合吟などの場合に完全協和音で吟じますが、完全8度・オクターブ(例:女性8本/男性水5本)が望ましいですが音程差が大きく実際には困難なため、完全5度(女性8本/男性1本)または完全4度(女性8本/男性3本)で吟じます。
今後この協和音をうまく活用することが課題となるでしょう。
→ 楽典の基礎 → 【音程】 → ★音程の種類を参照
二つの音程の協和性(1〜5)、および日本の音階(6〜10)を聴き比べてみて下さい
下のバー(プレイリスト)を▼(最右)で開き、選曲(クリック)すると再生(演奏開始)します。
‖(最左) : 一時停止(演奏停止)・▶(最左)で再生を継続します。
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← プレイリスト
【音楽の三要素】
音楽の形成要素として、リズム(律動・拍子)・メロディー(旋律)・ハーモニー(和音・調和)があります。
詩吟のみならず邦楽には、リズムとハーモニーが無いと云われるが、それを補うのが「日本語の二音一単位のリズム」・「音の強弱緩急」・「間合い」です。
→ 日本語の発音 → 【二音 + 一音】および 吟詠のワンポイント → 【詩情の表現】を参照
また最近は歌謡吟詠が盛んになり、いわゆる"詩吟の音楽性"も変化してきました。
邦楽の音階に関しては日本コンダクター販売(株)ホームページで詳しい解説が参照できます。
このページの最終更新日時:2020-04-02 (木) 13:00:26